検察庁法改正案に抗議します
先日、憲法記念日に寄せて書いたのですが、本当にこれは危ういということが、この混乱時にどんどん進められています。
森友学園のこと、加計学園のこと、そして桜を見る会のこと、何もかもうやむやのままで、審議が尽くされないまま今に至っています。
野党はそればっかりとか、まだ言っているとか、そんな声がありましたが、でもおかしくないですか。
公金の無駄というフレーズにはあれほどかみつくのに、いざ無駄が大量に出てくるとおとなしくなる。
そして、公文書が破棄され、改ざんされ、それが隠蔽され…と犯罪がこれほど行われているのに、一部がまだやっているだけという印象操作が行われることには、本当にどうしようもない沼を見るようです。
何が起こっているのか
そして、コロナ禍の中で出されたのは、検察庁法を一人のために変えようという無理くり策です。
というよりも、こそっと法解釈が変わったと言っておいて、国家公務員法を適用して逃げ切ろうとしたという方が正しいでしょうか。
明らかに問題になるのは分かりそうなものですが、権力の力が衰えそうだと見たのか、コロナの混乱を利用すれば何でもできると見たのか…。
森法務大臣の答弁も二転三転していましたが、結局何も変わることなく押し切ろうと審議入りがなされました。
なんだか難しそう、あるいは地味というか目立たないというのもよく分かります。
でも、とっても大事なんです。
そして、どうしようもない大変なことが起きているのです。
問題点は
何が問題か、それは三権分立がなくなるからです。
日本では、有罪率が非常に高いことで有名ですが、それを支えるのが検察官の捜査権と起訴権です。
これは、本当に強大な力があって、ドラマ99.9%のタイトルにもなった、無罪を勝ち取ることがいかに難しいかというのが話題になるほどです。
つまり、起訴されたものは、ほぼすべて有罪になるというものです。
人の人生やあるいは命の行方までもを変えてしまう力があるといっても過言ではありません。
別にすべてが横暴で、強引なものがあるというのではなく、それだけ大きな力があるというからには、慎重に行われなければならないのは当然のことです。
だからこそ、唯一起訴権を持つ機関であって、検察官には他に惑わされず起訴できるという、公平で中立であることが求められます。
またその地位が独立している必要もあります。
中には、汚職などの政治家の事件を捜査することもあるからです。
不偏不党、圧力に屈しない、独自の判断で職務遂行することが求められるのです。
延長『だけ』では済まない
けれど、これが変わってしまうというのが今回の問題。
定年を延長するということだけに思いますが、それを可能にしようとするのはなぜでしょうか。
それは、定年を延長させることで、任命する内閣にとって都合のいい人事ができるということ。
これは、起訴しないでほしい、あるいは起訴してほしいという声が、他から聞こえやすくなるということに他なりません。
圧力を受けないというルールが曲げられるのです。
この人ならと選ばれるのは、経験や実績をかわれたことによるものですが、今選択肢にある人以外からも選べるとなるとどうでしょうか。
自分たちの言うことに近い人、言うことを聞いてくれそうな人を選ぶものだと思いませんか。
検察庁法の定年規定は
実際、今回問題となっている黒川氏は2月に定年退職を迎えるところでした。
検察庁法にはこうあります。
第22条 検事総長は、年齢が65年に達した時に、その他の検察官は年齢が63年に達した時に退官する。
つまり、検事総長以外は63歳になったら退職するはずでした。
黒川氏は東京高検の検事長であり、この対象です。検事総長ではないので。
ですが、どうしても検事総長に押したい内閣は、この法律を曲げるため、ある策を思いつきます。
それは、国家公務員法を適用するというもの。
検察官も、国家公務員です。
ですが、その独立性や公平性など求められることが特殊であるため、法律は別に規定されています。
裁判官が他の圧力に屈して裁判に影響を与えないための身分保障と同じです。(多分こちらの方がイメージが付きやすいと思います。)
このため、歴代の内閣や、国会の答弁では今まではもう何十年もずっと、検察官の定年は他の公務員と同じにしませんよ。と言ってきました。
(公務員の定年延長は理由がある場合に例外的に認められるという規定があります。)
それが、今回、この1月の末になって急に定年延長を閣議決定で決めてしまいます。
本当に毎回お得意の閣議決定で何でも決めるやつです。連発感すらあります。
それはさすがにどうなんだ!となって、ようやく法務大臣が詰められるわけですが、元から規定されていたとか、法解釈を変えただけとか、前からそうなっていたとか、本当によく分からない答弁を繰り広げるわけです。
百歩譲って、これについて法解釈を変えるのならば、閣議決定ではなく、法律の改正をしなくてはなりません。全くの方向転換なわけですから。
けれどそれをしなかった。そして、誕生日前に滑り込みでこれを決めたことには、もう見え透いているとしか言えません。
しかし、法解釈や法律の改定というよりも前に、そもそもその時の権力者が、自分に都合がいいからといって、そんな強大な権力を持った人を一存で決めていいのでしょうか。
自らやその周辺を守るために、起訴されない権利を手に入れ、気に食わないものを起訴できる権利を後ろ手で手に入れたということにもなりかねません。
それは本当に法治国家として成り立ちますかということです。
あの三角形の意味
昔、教科書で立法内閣司法は△の関係で三権分立は、お互いがお互いを見張ることでその権力の偏りを防止する。という図を見たことがあると思います。
あれがなくなるということです。
人事に口が挟めるということは、その人やその人の仕事にも口を挟むことと同じです。
そんな中で、中立で良心にだけ従って捜査や起訴ができるでしょうか。
また、権力で何でもできてしまうというのは、本当に怖いことです。
私たちは、他国の情勢を独裁だとか、強権だとか、言いながら見ています。
けれど、それが実際目の前に繰り広げられているとどうでしょうか。
何故か、気が付かない。
何故か、他人事。
何故か、右がとか左がとかということを差し挟む様になります。
本当に大事なのは、それぞれがバランスよくなっていることではないでしょうか。
監視が行き届き、お互いがけん制しあうことで、より公平で公正な仕組みが成り立つことではないでしょうか。
国がああいうから、こういう罪をもっと取り締まりますとか、こういう人はマークされますとか、そういう恣意的な判断がなされる可能性があることが、本当に安全な国家と言えるのでしょうか。
自分に関係ないというのは、そうでもありません。
検察の存在は遠くても、警察はそんなに遠くはないはずです。
下部組織なわけですから、上に何かお達しがあると、警察の動きも変わることは当然です。
全く無関係でもないのです。別に犯罪を犯そうと犯すまいと。
経済だけよくなればいい、自分には関係ない。
そう思われるかもしれませんが、今回のように何でも法を自らが捻じ曲げる政府を信用は出来るのでしょうか。
そんな政府の下で暮らすことが、果たして経済だけとか他が安全と言えるのでしょうか。
もう十分だ
今回のコロナ禍で身に染みているはずです。
声を上げるということがどれほど大切か。
口をふさがれているということがどれだけ苦しいか。
自粛という檻の中で、数か月暮らすだけでもいろいろな弊害があり、制限がかけられることに仕方ないとは言いながらも、ストレスが大いにあると思います。
先は誰にもわかりません。
危機的な状況だからこそ、不安にもなる。
けれど、その混乱を利用して、本当に火事場泥棒のようにふるまうことを許していては、関係ないと思っていた生活にも影が忍び寄るはずです。
大事なのは、黙ることでも、誰かに任せることでも、無視することでもない。
声を上げるというのは、ただ文句を言うことだけということではありません。
騒いだり、喚くということでもありません。
私たちは、主権者です。
モノ申す権利がある。誰かを罵倒しろというわけではないのです。
ただ、おかしいことにおかしい!と声を上げなければ、その声はないものとして扱われる。
賛成しているものとして扱われる。
隠れて法案を通しても、知らなかったからそれには従わないというわけにはいかないのです。
声を届けてください。
オンライン署名が行われています。
こちらはメールアドレスと名前を入力すると署名ができます。
キャンペーン · 【要請】東京高検・検事長黒川弘務氏の違法な定年延長に抗議し、辞職を求めます · Change.org
声を届けてください。
簡単に検察庁法改正案に反対!でも構いません。
また、住所や名前を入れる必要もありません。
官邸にも、また法務省にもこちらから意見が届けられます。
各省庁にする場合にはメールアドレス欄がありますがこちらも入力しなくても送れます。
ただ確認画面が出るため、表示される数字を□内に入力する必要があります。
とても簡単ですので、ぜひ。
今回の法改正に賛同している自民党へはこちら↓
こちらは名前(ニックネームも可能)、性別、年齢、地域、メールアドレスの入力が必要です。
自民党へのご意見フォーム | ご意見フォーム | 自由民主党
同じく賛同している公明党はこちら↓
こちらも名前、地域、職業、メールアドレスの入力が必要です。
野党という位置づけですが賛同している、維新の会へはこちら↓
名前とメールアドレスが必須項目です。
コロナの問題も大事です。
命に係わる。
けれど、その陰で不要であり不急の行動をしているのは誰でしょうか。
コロナばかり話題になりますが、他にも大事なことがあります。
是非目を向けてください。
分かりやすくまとめている方がいました。参考にどうぞ。
コロナ騒動で報道されぬ重要法案。異例の公務員法・検察庁法改正と高齢者フリーランス化=らぽーる・マガジン | マネーボイス
以下は現在の検察庁法が読めます。