ETV特集 緊急対談 パンデミックが変える世界の備忘録。ハラリ氏とアタリ氏
最近は、ニュースもみれない、ドラマの録画も進まない、バラエティーも音がしんどい…と観るものがどんどんなくなっていますが、ドキュメンタリーなどが好きでNHKはBSやEテレを時々観れています。
ETV特集の鈴木義男さんの番組の前の週の放送だった、『緊急対談 パンデミックが変える世界 〜海外の知性が語る展望〜』の再放送の録画をようやく観ました。
気が付けば、二回続けて、ETV特集の話だ(;'∀')
この番組がとても興味深くて、本当に示唆に富んでいました。
これは!と思う言葉をメモしていたのですが、ほとんどの発言をメモする事態となり(^^;)手も忙しいほど動かしながら、見入っていました。
- ユヴァル・ノア・ハラリさんとジャック・アタリさん
- ハラリさんの話 私たちは今選択できる
- コロナを利用した独裁
- 緊急事態がずっと…
- 監視システムについて
- デマにはどうするのか
- 結末は選べる
- ジャック・アタリさんの話 危惧すること
- 利他主義への転換を
- どう行動すればよいのか
ユヴァル・ノア・ハラリさんとジャック・アタリさん
HDDがいつものことながら一杯で、消化しようとして観たのですが、予想に反して保存版となりました。
以前、多分今年の正月に放送されていた、『欲望の資本主義』のシリーズの再放送とスペシャル番組をじーっと観ていて、経済については分からないから難しいかな?と思いながらも、興味深かったのを思い出しました。
今回の対談に出ている、ユヴァル・ノア・ハラリさんもジャック・アタリさんもこのシリーズに出ていました。(後で気づいたけれど)
そして、ジャック・アタリさんはこの番組の録画を観る少し前、欲望の資本主義のスピンオフをBS1で再放送していたのをちらっとお見掛けしていました。
そのときは(多分ポジティブすぎて?)不思議なおじいちゃんだなぁ(^-^;と思って途中でやめてしまいました。
真剣に見入らず申し訳ない!とこれを観てから思いました。
もっと聞いていたかったというのが、この番組を観た感想で、ハラリさんもアタリさんも、それぞれ一時間くらいの番組で話してほしかったな。と思ったのですが、ハラリさんに関しては、特別編として60分の番組になっていました。
そちらも録画していましたが、まだ観れていません。楽しみです。
「緊急対談 パンデミックが変える世界 ユヴァル・ノア・ハラリとの60分」 - ETV特集 - NHK
この3人の対談を観たときのメモをここに残しておきます。
あまりにも大事!そうそう!とずっと頷きながら書いていました。
自分の備忘録として、そして見れなかった方に少しでもニュアンスが伝われば幸いです。
ほとんどを字幕を中心にしていますが、ですます調はなしにしていて、私個人の理解で縮めたりニュアンスが変わっているところもあります。
『』内は発言、それ以外は私の言葉でまとめたものや、感想です。
↓ ↓ ↓
ハラリさんの話 私たちは今選択できる
以下はハラリさんの話の一部抜粋です。
『私たちは選択肢が数多くあることを理解すべきで、それらは政治的選択。
政治家の仕事であり、政治家を監視する市民の仕事。
ウイルスの流行だけに関心を持つべきではない。
政治状況にも焦点を当てるべき。』
ニュースでも本当にコロナ以外の話をここ何ヵ月も聞いていない。
『民主主義が崩壊するのは決まって緊急事態のとき』と警告する。
ハンガリーのあからさまな独裁への舵の切り方には驚いたけれど、どこもあり得ない話ではない。
不安でどうにかしてくれと、強権的な動きを求めるのもまた日本にいる私たちも経験したばかりのこと。
また、選挙で敗れたのに、議会を閉鎖しようとした自国のイスラエルの首相のやり方は『ウイルスの流行と闘うという口実を使った政治的クーデターだった』と話した。
これもなんか遠い話では決してなく、保身のために、どこも政治家自身の任期の延命のためにやりそうだと思った。日本もね。
コロナを利用した独裁
独裁者は効率がいいし、迅速に行動できる。
誰とも相談する必要がない。
しかし、間違いを犯しても決して認めない。
間違いを隠蔽する。
メディアをコントロールしているので、隠蔽するのが簡単。
間違いを重ね、責任を他の人に転嫁する。
そうしてより権力を強化する。
そしてさらに間違いを重ねる。』
いかん…これはコロナが来なくても日本の姿そのものではないか…😩なんかとても寒気が…。
昔から危機により政治が大きく変換するというのは、為政者にとっては利用して容易く動かせるようになる、ということなのかもしれない。
『民主主義に大切なのは政府が間違いを犯した時に自らそれを正すこと。
そして、政府が正そうとしない時に、政府を抑圧する別の権力が存在するということ。』
ここではチェックという言葉を使っていた。
その通りとしか言いようがない…。主権者は国民なんだから。
緊急事態がずっと…
イスラエルでは1948年に出された緊急事態の宣言がいまだに続き、多くが未だに法的に有効だと語り
『緊急措置が適用されるのは危機の間だけで、危機が去ればいつも通りに戻ると思いがちだが、それは幻想』と。。
こちらもずっと危惧していること。
憲法改正をみたいな言葉が先日あったのも、こういう事態を見越しているからと思える。
『緊急時だからこそ、民主主義が必要。
チェック&バランスが維持されなければならない。
政府を権力につながる人だけでなく、国民すべてに奉仕させるために監視が必要』
一部の人や自分にとって都合のいい周りの人々のためではなく。
監視システムについて
また、日本でも言われた感染者の監視システムの導入の話では、ネット先進国のイスラエルでは国民に対する監視として、治安機関がテロを監視するために作られた監視システムの運用を容認している。データは警察に一旦送られ、必要となれば収容や隔離も可能という仕組み。
自分は監視を支持するとしながらも、危機をおぼえるとして
『警察とつながりのない、独立した保健部門の機関がすべきで、個人のデータを政府が集め密かに保管すべきではなく、自分達自身にもデータにアクセスできる権限が必要。
データにも政府の決定にも透明性の確保がされなければならない。
監視は両方向であるべきで、それが市民の力である。
一方向であるのは、情報を隠されるなどして危険である。』と。
ハラリさんの言うには、教育を基礎にした、信頼関係が大切。
デマにはどうするのか
デマに惑わされないためには
『市民が情報を吟味し、科学的な指針に従えば、緊急時に独裁的な手法をとる必要性は少なくなる。
これが非常に重要。
一人一人が、現在の状況や誰を信じるかについて知識をつけること。
そして、政治状況に目を光らせておくこと。
決定に参加し、政治家たちの行動を監視することがとても重要。』
結末は選べる
最後にメッセージとして。
『自国優先の孤立主義や独裁者を選び、陰謀論を信じるようになったら、その結果は歴史的に大惨事だろう。
グローバルな連帯や民主的で責任ある態度を選び科学を信じる道を選択すれば、後に人類にとって悪くない時期だったと思えるはず。
人類は以前よりずっと強く団結した種になれた時期として位置付けられるはず。
結末を選ぶのは私たちである。』
最後の言葉がとても印象的だった。
私たちには選択肢があって、その手に決定権があるということ。人任せではなく。
ジャック・アタリさんの話 危惧すること
そして、以下は、ジャック・アタリさんの話の抜粋です。
↓ ↓ ↓
ジャック・アタリさんも、ハラリさんと同じく、パンデミック後に危惧することとして、
『ポピュリスト政府の誕生や、新しいテクノロジーを使った国民監視が強化された独裁主義の増加、ハンガリーを例としたパンデミックを独裁主義に向かうための口実にすること』
をあげていた。両者ともに、予想しうるシナリオは似ていたように思う。
そんな中で、強い政府(混乱時の管理という意味において)と民主主義は両立しうると。
第2次世界大戦時のイギリス政府の例をあげていた。
また、差別や分断が目立ってきているとし
『利己主義が拡がることの危険性や、経済的な利己主義が高まる危険、国境閉鎖というのではなく、バランスのとれた連帯が必要。』
国境閉鎖は現状で必要ないという意味ではなくて、コロナ以後という意味でだろう。
利他主義への転換を
そこではポジティブな社会、共感のサービスがキーとなる。
『ポジティブ経済とは、長期的視点に立ち、私が命の産業と呼ぶものに重点をおく経済。
これは、生きるために必要な、食料、医療、教育、文化、情報、研究、イノベーション、デジタルなどの産業。生きるのに本当に必要なものに集中すること。』
デジタルなどの中では、セキュリティとも言っていた。
『利他主義は合理的利己主義にほかならない。
利他的であることは、ひいては自分の利益となる。』
感染や国同士の経済発展を例にあげていた。
『利他主義は最も合理的で自己中心的な行動』とも。
自己謙遜に似たくすぐったさも覚えたが、きっと俯瞰で見ると人のためは自分のためなのだろう。
仏教的な感覚にも思える。(後ろに日本庭園の写真が飾ってあった)
『経済の設定を変えなくてはいけない。
戦時中の経済と同じように。
ただし、爆弾や武器を生産するのではない。
医療機器、病院、住宅、水、良質な食料などの生産を長期的に行う。
多くの産業で大規模な転換が求められる。
私たちに出来るかはわからない。
パンデミック後、人々が以前のような行動様式に戻ってしまうかもしれないから。』
どう行動すればよいのか
やたらと良い機会だから生かせと焚き付けるようなよくある言い方ではなく
『良い方向に進むためには、今の状況を上手く生かすしかない。
しかし、人類は未来について考える力がとても乏しく、また忘れっぽくもある。
過去の負の遺産を嫌うため、それが取り除かれると、これまで通りの生活に戻ってしまう。
人類がそのような弱さを持たないように願う。
私たち全員が次の世代の利益を大切にする必要がある。
誰もが、親として、消費者として、労働者として、慈善家として、そしてまた一市民として投票を行うときにも、次世代の利益となるような行動をとることができれば、それが希望となるだろう。』
聞き手である、道傳キャスターの落ち着いていて的確な質問で、より深くより芯を食う対談だったと思います。
本当に観れて良かったなと思える内容でした。
私の理解と、まとめを含めるとなんだ?!となるかもしれませんが、本当にいい番組だったのです。
うまくまとめられずに、読み返してちょっと落ち込む…(´・_・`)
個人的には、欲望の資本主義がまた観たいなと思っていたところ、BS1でスピンオフの再放送があるようです。
「欲望の資本主義2020スピンオフ スティグリッツ大いに語る」が5月11日(月)午後1:00~午後1:50
「欲望の資本主義2020スピンオフ ジャック・アタリ大いに語る」が5月12日(火)午後1:00~午後1:50
スティグリッツさんの話は大体観ましたが、とても分かりやすくて興味深かったです。
アタリさんの回も今度は(^-^;しっかり観ます。
オンデマンドの配信もありますが、こちらは有料です。購入期限は来年まで。